アートの「今様」
今年で11回目をむかえる「和様の書展」は、広く「現代アート」にも門戸を開くことにしました。
なぜ、「書」と「現代アート」なのでしょうか。
ひとことで言えば、日本の書と現代アートが抱えている問題が、とても似通ったものだからです。
現代の書は、「現代文」としてのスタイル(和様)の確立することなく、はやばやと「伝統芸能」に閉じこもってしまいました。
そのため、現代書のほとんどが「読めない書」であり、「読ませない」ことによってその特権性を守ってきました。
いわゆる「現代書」のほとんどが、漢字による抽象表現(20世紀の前衛表現)に留まっているという事実が、「読めない書」の行き詰まりをわかりやすく示しているでしょう。
一方、現代アートは多様で、特定のスタイルに依存せず、常に自由な表現を追い求めるジャンルだとされています。
しかし実際には、移り気なマーケットやジャーナリズムが生み出す「トレンド」こそが、いわゆる「現代アート業界」の動向を支配しています。
そのため現代アートの世界は、トレンドに合わせた「現代アートっぽい」スタイルの見本市のようになってしまいました。
そこでは、アーティスト自身が考え、伝えるべき内容よりも、いかに「テンプレ化」したスタイルを巧みに組み合わせるかが重要なのです。
「読めない」書は「伝統化」し、「伝わらない」現代アートは「テンプレ化」する。
『和様の書展』では、このふたつの異なるジャンルが抱える共通の問題を突破するため、「書」と「アート」を分け隔てなく募集することに決めました。
「伝統化」した書ではなく、「テンプレ化」した現代アートでもない。いうなれば、本当の「今様(いまよう)のアート」を、ともに探求してゆきましょう。
展示
名称 | 第11回 和様の書展~今様のアート~ 同時開催 クセ字コンテスト4、VRゆるゆる書道バトル5 |
日程 | 2023年8月5日(土)~12日(土) 9:30~17:30 ※8/7(月)休館日 ※最終入場 最終時間の30分前まで ※最終日は15時まで |
入場料 | 10円(案内ハガキ持参で無料) |
会場 | 東京都美術館 ロビー階 第2公募展示室 |
特別審査員
審査員(1賞1副賞)&協力企業
賞名 | 副賞 | 受賞 | 作品 | 作者名 | 受賞理由 |
大賞 | 30万円 | 011 | 曜と響 | 鈴木 淑子 | 別記 |
JC-MS 賞 | 百貨店orJCB等商品券1万円分 | 012 | 日々是様々 | 山上 由江 | 私自身の日々の生活を良く表現してくれている作品で共感しています。 |
うつくシュウマイで賞 | シュウマイ潤 監修 東京焼売+協会グッズセット | 035 | 広島 地 お好み焼き タラちゃん | ちづる | 暖簾をぜひ書いて欲しいです |
オタフクソース賞 | オタフク詰め合わせセット(1万円相当) | 037 | 笑顔の花 | 根本 えりこ | 心癒される素敵な作品でした |
クリューソス 賞 | 商品券1万円分 | 038 | 心 | 藤村 純華 | 見てると笑顔になるから |
セーラー万年筆 賞 | プロフィット ライト 万年筆 ゴールドトリム 万年筆 | 013 | 日々是色々 | 山上 由江 | 「日」の一文字で様々な表情・色を表現している点が見ていてワクワクしたため |
タラちゃん賞 | 真っ直ぐ本舗のピクルスドレッシングセット | 037 | 笑顔の花 | 根本 えりこ | 明るくて元気もらえそう。 |
開明墨汁 賞 | 開明墨汁厳選詰め合わせ | 049 | 黒百合 | Made in Heureka | 墨汁屋さんとして黒いものに惹かれ会場入り口付近での作品がインパクト大でした。 |
鎌倉ハム富岡商会 賞 | 布巻きハム | 051 | 肉星人 | 堀川 範人 | 洒落の利いた中に落ち着きと趣を感じることができる |
鍛冶屋せんべい賞 | オリジナル遊名詞30枚 | 002 | 龍(2024年 干支) | 中村 壽美子 | 龍という文字が生き生きと動き出しそうに書かれているから。 |
日光印 賞 | 日光印 四季(練り朱肉) | 017 | 静と動 | のりこ | 見た感じよいと思いました |
墨運堂 来場者アンケート 賞 | 高級墨汁 | 038 | 心 | 藤村 純華 | |
藝を育むまち同好会 賞 | デパート商品券1万円分 | 041 | 鮭 | 土屋 妙恵 | アートと書の接点を考えたとき、とてもいいバランスの作品だと感じました。 |
仿古堂 賞 | 筆 謙信×2本(点) | 040 | 百点南天 | 黒沼 千津子 | 床の間に合う作品 |
秋華洞 田中千秋さん
友人への祝福の真摯な思いと作品の美しさがきちんと同期していた点でしょう。ただし、この展覧会のレベルの中でよかっただけなので、慢心しないで下さい。
ただ、いえることは、書は「つぶやき」ではけっしてなくて、「よそ様」に送る真摯な言葉であるということです。そこを外すと、伝わりません。書はいまトビカンに千点を超える数飾られていますが、たぶんその条件を満たすモノは10点にも満たないでしょう。難しいのではなく、人に贈る、という原点を皆忘れていて内輪で褒められることしか考えていないからです。
見知らぬ他者に贈る心からの言葉であり文字である、ということを忘れないでください。
どんなに美しい技術や知識があってもそこがなければ内輪の言葉遊びになります。
同時に、文字への知識と技術を磨く必要があります。現代ならアルファベットも含めて文字に真剣に向き合う必要があるでしょう。みなさんはまったく怠惰で無知で、話にならないと思います。
しかしひとたび興味を持てば、果てしなく深く広い世界が広がっています。ぜひその楽しさに出遭っていただ炊きたいです。
書家・現代アーティスト 山本尚志さん
大賞受賞者の鈴木淑子さんの「曜と響」は、結婚式の2人に贈る名前の部首が、それぞれ分解され、かつ、紙面上に溶け合うというコンセプトの作品。 一見伝統的なスタイルに見えて、実は名前の「音」を表すアルファベットと、中国由来の漢字とが一つに溶け合う姿は、結婚する2人の祝福の意味としてこの上なく、なるほどと思わせた。純粋な現代アートとしてではないが、わよう書道会の「用の美」の究極的な作品として評価できる。会場にはプロの美術家の作品もあったが、これからのこの会への期待を込めて、鈴木さんの受賞となった。
次点は2人。会場ではまず、会の主宰者でもある、うどよしさんの「25/1000」を挙げた。
エディションナンバーなのに、一点物のオリジナルであるという自己矛盾が、実は版画の傍にある「あの数字こそが書」なのであるという発見だと感じた。その視点の確かさを評価した。
同じく次点として挙げた、藤城嘘さんのトイレットペーパーの作品「無常のうた」は、全面に「無常」と書かれたもの。
カラフルに色付けされた一本のペーパーそのものが諸行無常であり、かつ想像されるヒトの毎日の営みとしての排泄行為が、無常なる人間の世の比喩として表されており、現代アートの作品らしく完成度の高いものだと感じた。 最後に。現代アートの世界を目指される方々には、「何をしたか。そこで何を考えたか」というどっしりとしたコンセプトワークが、今後の課題であると思う。上記3名の方々の作品を参考に、今後学ばれることを希望するとともに、次回の奮起に期待したい。
応募詳細(随時更新)
出品料 | 11,000円(込) ※表具/額装作品は表装代金がかかります ※書道業界での慣例(審査に影響する)「謝礼金」「作品購入」は禁止 |
作品〆切 | 〆2023年7月3日(月)必着(出品料も納付のこと)←中旬が早くなりました ③その他 プラン提出期限 6月30日(金)必着(下記「出品する」ボタンから申請) |
サイズと表装 | ①額装 ()内 作品サイズインチ 203*254(143*194以下) 7,000円 ②軸装 横幅により変化Aランク(完全機械打ち) ③その他事前にプラン提出。 |
振込先 ゆうちょのみ | ゆうちょから 00160-2-791785 他行から 当座 〇一九店 791785 口座名義 ワヨウショト゛ウカイ |
送付先(①②) | ①額、②掛け軸 〒113-0034 東京都文京区湯島2-14-12 わよう書道会「和様の書展」作品在中 ③その他 設営日(8/4 9:00~)に持参、設営 ※申し込み後の自動返信メールを印刷同梱してください ※両部門に出品者は同梱可能(封書等で分けて、それぞれにタイトル、氏名記載) |
応募基準 | 日本語(現代文)の文字に関する作品であること |
メディア(画材) | 規定なし(毛筆、絵画、立体、映像、インスタレーションなどすべて可) |
応募方法 | 出品申請 【注意事項】 |
審査 | 公開審査/1審査員1賞&副賞+総合審査 大賞賞金30万円 |
結果発表 | 会期中に公開/会期終了後、Web上で公開 |
主催 | わよう書道会 |